ケンカの仕方は教えません。

けんかの仕方教えます (佐江衆一) (岩波ジュニア新書)読了。
思わずタイトル買いした。しかし、「喧嘩上等」「殴るならココだ!」「怖い人たちに囲まれたら…」「地元じゃ負け知らず、A君の日常」などの過激な項目が「岩波ジュニア新書」にあるはずもなく、おじさん(=著者の一人称)による人生論になっている。「ツッパリ大賛成」という項目から始まるこの本で、おじさんは常に中学生や高校生の立場に寄り添おうとする。おじさんは、オトナ社会の矛盾に気づき、腹を立てることを大切だといい、それに対してツッパルことを進める。とはいっても、ガラスを割るとかではなくて、自分の生き方にツッパルということ。
いちばんおもしろかったのは、高校入試の問題に対するツッパリ。著者の作品が使われている入試の4択問題を取り上げて、こう述べる。
P.105

正解を一つ選べるなんて、バカじゃないのかネ!

これを作者自身がいうのは、なかなか痛快だった。

ただ、「けんかの仕方教えます」という割には、全体的にとても真面目な内容だった。あとがきにも書かれているけれど、ちょっと説教じみてるところがある。どうせならば、ガツンと読者にけんかを売ってみるというのもありだったのかもしれない。
「スカートの丈を長くしても……」という小見出しが古臭く感じられるけれど、オトナ社会にツッパッて成長したおじさんの思考を知るには良書。