感染源を報道する必要性はあるか。

豚インフルエンザのニュースが飛び交っている。
その中で感染源についてのニュースを見た。初めての感染者として、映像には男の子が大写しになっていた。インターネットでも次のように報じられている。

「メキシコ発の新型インフルエンザ(豚インフルエンザ)の感染が世界的に拡大する中、同国東部のベラクルス州が、今回の感染源ではないかという見方が出ている。養豚場がある小さな村に住む男児の症状が、「感染確認第1号」とみられているためだ。」(『メキシコ「第一号」は?…感染源、小さな村の5歳児に注目』YOMIURI ONLINE)

確かに、ウイルス発生のメカニズムを解明するために、感染経路を特定することは重要かもしれない。しかし、いくら感染源として一人の人間が疑われているからといって、それを報道する必要性はあるのだろうか。名前や映像までを公開して、伝えることが本当に必要だとは思えない。しかも現段階では、感染源をこの男児に断定できているわけではないのである。
もちろん、感染者の情報を管理して、更なる感染を防ぐことは必要である。しかし、推測や疑いの段階で名前や顔を出して、あたかも「感染源」であるような報道をするのは間違いだと思う。
感染が拡大するなかで、報道する内容が人々の心理に与える影響は大きい。例えば、「豚」インフルエンザという名称だけで、豚肉が危険という誤解を招くことが心配されている。注目を浴びているということを客観視するような形で記事を書くのではなく、根拠のある報道がなされていくべきであると思う。